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漱石の『こころ』を読んで強い印象を受けたのは ‥‥ という高校2年生の時の感想文の課題
夏目漱石の『こころ』は、とても感銘を受けた本の一つで、遥か昔の高校2年生だった私が受けた当時の気持ちが記されていたので、何点かの誤字を修正したものを掲載します。
正直、単なる一(いち)高校生が日本を代表する文豪を対等目線で評している生意気な感想文です。
この感想文に対して、先生が線を引き、コメントしています。(コメントに関しては 注釈 として、最後に載せます)
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漱石の『こころ』を読んで強い印象を受けたのは ‥‥ と言われても、受けた印象は様々であり、どれが最も強いものであるかは、なかなか決め難く、ここで述べることを避ける(逃げる)ことにする。
「こころ」を読むにあたって、私には 「人間の行動は欲望も理性と呼ばれているものも、全て精神的に満足するための手段であって、それには善も悪もないのだ」 という考えがあった。そのため「こころ」も、そのような 視点いや私点 (※1) に立って読んだ。主な登場人物の行動についての自分の意見と、その感想を述べることにする。
先ず、先生の叔父。
あまり登場しないが、この人は残された遺産の前に、それまでの態度を百八十度変えてしまう人物として書かれていた。私は、このような行動を支配するものが、「物質的」なものではなく、「物質を得る」という「精神的」なものだ (※2) と思う。
なのに、漱石は「人は金を前にすると変わる」とし、その事を、騙されたと主人公の先生と関連させて「悪」まで読者に連想させている。
叔父など、この小説の主題とは関係のない、付け足しだとは思うが、ここだけで 「勧善懲悪」 を連想した。
次に、お嬢さんの母親。
一見、よく登場し、どのような人間なのかが解るような気がするが、その殆どは先生の主観であって、本当のどのような性格な人間か(彼女の精神状態)は不明。
言い換えれば、漱石が主人公である先生の精神活動を、より深める対象物として使用した登場人物だと思った。
そういう点では、先生の奥さんが結婚前にお嬢さんと呼ばれていた時代、お嬢さんも同様に、どのような考えを持った人物なのかが全く描かれてなく、やはり、先生や、それに加えてKの心境を表現するための対象としかなっていない。
つまり、漱石は「先生」以外の人物は全て、「先生」の精神状態を描き出すための対象としか扱っていないのだが、しかし、そこには不思議なほど不自然さがないことに感心した。そういう点では「上編」での私も、そのような意味を持つものではないかと思った。
しかし、鎌倉の海岸で出会って以降の先生と私の親密になるなり方は、文豪漱石にしては、少し不自然な設定ではないかと思った。 (※3)
次にK。
Kは真宗の教義以上に、愛についても禁欲的な人間。その点で私は「物質を得て」精神的に満足する叔父と「物質や“愛”についても禁欲を守ること」で精神的に満足するKとが、対照(対称)的だと思った。
このように叔父とKを対極に分類すれば、先生はどちらかと言えばKの側に属する。
漱石が「こころ」で述べたかったのは、「物質や“愛”についても禁欲を守ること」で精神的に満足する人間の心理だと思う。
その心理をストレートに表しているものがK。
読者の誰もが、このような人間が行き着く先が 「死」 であることは予想できる。 (※4)
そして予想通り、Kは自殺する。
しかし、これだけでは作品として面白くない。
Kの自殺原因を曖昧にし、しかもKほどストレートでない性格の「先生」を主人公として、Kの自殺との関連を臭わせて、漱石は 「先生」 を紙の上で殺してゆく。実に、この辺の漱石の書き方は超一流だと思った。 (※5)
※1 ◎(二重丸)の評価
※2 あまりに当然のことで、改めて言う意味はないよ という評価
※3 〇(丸)の評価
※4 ◎(二重丸)の評価
※5 ◎(二重丸)で、うまいね! という評価
( 続く )
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川上敦子さんから頂戴したお心
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最終話:2015年6月10日掲載
多くの教えと思い出をありがとう。(シリーズ最終話)
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認知症でも、まだ手が動かせていた頃の父が描いた絵
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母の腕の中で静かに天国へ旅立って逝ったパーク
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2016/9/2 22:00:10