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ブログ記事|胃瘻(いろう)という漢字を読めますか? 意味が解りますか? ラコールを知っていますか?

胃瘻(いろう)という漢字を読めますか? 意味が解りますか? ラコールを知っていますか?


医療関係、介護関係、介護経験者の一部の方を除いて、ラコールという名前をご存知ないと思います。

食べたものが食道ではなく気管から肺へ入ってしまう 誤嚥性肺炎 を発症してしまい、食べ物を口から摂取できなくなってしまった人が、直接、胃に医療用流動食を接収することにより生命を繋ぎ止めるために、手術により胃に穴を開けます。

そして、医療用流動食が流れてくるチューブを接続するための蓋つきの専用の医療用接続器具を胃に埋め込みます。

この手術のことを 胃瘻手術 と言います。

胃瘻手術は、大きな リスクや大変さ を伴います。

胃瘻手術自体が弱ってしまっている身体に大きな負担を掛けるもので、手術後に急変して、生命を失ってしまう方もいらっしゃります。

しかし、人は点滴だけで、長く生き続けることは、とても難しい ものです。

リスクがあったとしても、前に進まなければ、生命を繋ぎ止める ことが出来ません。

何とか胃瘻手術を乗り越えられても、手術は1回やってしまえば終わりではありません。

日数の経過と共に 胃と接続口が癒着 して支障をきたしてしまうので、父の場合は半年に1回、胃瘻手術を行なっていました。

専用の容器に入れた医療用流動食を点滴棒に吊るし、ゆっくりと医療用チューブを介して胃に食事を届けます。


2002年~2011年までの9年間、毎日、生命を繋ぐために摂取していた医療用流動食で、最も普及している薬の名前が ラコール です。


画質が悪いですが、実際に父の食事中の専用容器に入れたラコールの写真です。

1パック200ccのラコールを2パック専用容器に入れて、ゆっくりと落とします。

無理に早く胃に落とすと胃の消化が追いつかず、食道方向へ逆流してしまい、そこから気管に入ってしまえば、肺炎を発症する危険がありますので、ゆっくりと落とします。

400ccのラコールが全て落ちても、容器やチューブに少し残ってしまっていますので、人肌の温度にした50ccのお湯を容器から落として全てが終了です。

この胃瘻の食事は、案外と大変で、1回の食事が終わるまでに、約1時間30分 を要し、父は1日3回、9年間にわたり、この食事を自宅で摂取することで生命を繋いでいました。

そして、この1時間30分が終了したからといって、全てが終わりではありません。

胃瘻で使った 専用容器やチューブの洗い(消毒) を行います。

次回に使うまでに、容器やチューブに残っているカスなどを、全て綺麗にして、洗い必要がありました。

健常者には、当たり前なので、あまり気に留めることはないですが、人は食べ物を口から摂取するので、(人間にとって) 害となる異質物 だった場合には、その味で 危険を察知する 能力を持っています。

また、口の中にある 唾 には、バイ菌などを 消毒する力 があります。

しかし、胃瘻による食事摂取では、ストレートに父の胃の中へ食べ物が流し込まれるので、唾による除菌 が出来ませせんので、容器やチューブを清潔に保つ 必要があります。

次回の食事までに、しっかりと洗浄して、衛生面を万全にしておくための、この処置も、決して簡単ではありません。

胃瘻による食事は寝た姿勢では摂取できないことを説明します。

食道に逆流してしまうので、介護用ベッドの上半身の部分を起こすか、車椅子に座っての食事となります。

この食事時間中、食事を落としっ放しではなく、母か私が様子を看ている必要がありました。

自力で寝返りをすることも出来ない父でしたが、身体が全く動かない訳ではありません。

父の意思があったか、なかったかは現在でも永遠にわかりませんが、食事中に手などが動きます。

動いてしまった父の手で、胃と接続されていたチューブが外れてしまうことが多いのです。

だから 見守っている必要 がありました。

しかし、ずっと凝視している訳ではありません。

チューブと胃の接続状況を常に見るために、父を裸にする訳にはいきません。

特に冬場などは、即座に風邪をひいてしまいます。

タオルと毛布でチューブにより出来た隙間をしっかりと塞いで、定期的に、それらを外して接続具合を確認するのです。

しかし、9年間の自宅介護の中では、介護する側のトイレ、電話などによる、どうしようもない事情により、確認の間隔が開いてしまったことにより、チューブが外れ、大変なことになってしまった 苦い経験を何度も 経験しています。

チューブが外れてしまうと、それはもう、大変な事態でした。

父自身の身体、洋服、ベッドまたは車椅子が、ラコールのドロドロとした液で濡れて、こびりついてしまいます。

毎週2回、訪問入浴の方に来ていただかなければ、母と私では、どうすることも出来なかった入浴です。

ラコールで汚れてしまったからといって、シャワーを浴びさせることなで出来ませんでしたから、その後始末の処理をすることは、とても大変なことでした。

24時間しかない1日の中で、胃瘻による食事の準備や専用器具の衛生後処理などを除いた純粋な食事の時間だけでも、3回の食事に、毎日4時間30分 の自宅介護を行う必要がありました。

医療用流動食のラコールに味などない‥‥と多くの方が無意識に思われていたと思いますが、ちゃんと味があります。

父の時代は三種類、バニラ、コーヒー、バナナでした。

現在では、コーン味も加わり、4種類の味だそうです。(ラコールの詳細が製薬会社さんのHPに載っています)

http://www.peg.or.jp/lecture/enteral_nutrition/product/otsuka_racol-nf/


どうして、味があるかわかりますか?

直接、胃に入れても、食道から臭覚のある鼻へ、その匂いは伝わるのです。

だから、ラコールは味、というか、強めの匂いがするように作られています。

いつも同じ味だと、きっと父もウンザリしてしまうだろうと、毎食、ランダムに味を変えての食事としていました。

このラコール、定期的には私の自宅に届けられてきていたものだと思われるでしょうが、違います。


毎月、往診のお医者さんに処方箋を作成していただき、近くの薬剤薬局で3箱プラスαの一家月分を取りにいきます。

歩いて8分ほどにある調剤薬局ですが、とても手でなど運べませんから、毎月、車で取りに行っていました。



-- 関連情報 --

BLOGタイトル
誤嚥性肺炎により生命を失いかけた父

http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/de508cdb4b6867df023847f060403657





( 続く )




その他のシリーズ 認知症の父の自宅介護 の各記事の一覧は下記のURLに載っております。

http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/357b83df4b2f1613c2fa5e366d6d96e3
育ててくれた親が病気になれば、介護をするのは人として当たり前のことです。(写真は大昔に父が箱根へ連れていってくれた時の写真です)
そんな父への介護のピークは、どの施設からも(病状が酷く)受け入れを断られ、2002年~2011年までの間に朝5時~夜中の2時まで毎日続けた自宅介護でした。




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--- 連 載 中 ---



シリーズ「世の中に物申す」

http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/5daf02cffe9da5b480f3820aa21dd756
どのような不利益が降りかかったとしても、世の中に発信していかなくては‥‥と
私の心が揺れ動くことを微力ながらも発信しています。




シリーズ 全ての説得を拒否した芸能人の子供が多く通っている誰もが名前を知っている有名私立小学校の教師をしている兄の悪業

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16年に及ぶ父への介護放棄と父の死後、全く供養も行わずに未だに実父の墓の場所すら知らない有名私立小学校の教師をしている兄の悪業を掲載しています。



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民法第877条違反の懸念が強い教師がいることを保護者に隠し、道徳的な指導を教師に行わないと言った有名私立小学校の校長の話です。
 
 

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唯一の被爆国である日本の戦争について様々な角度から自分の思うことを記していきたいと思います。



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頭デッカチ、頭がいくら良くても、本当に大切なのは心の豊かさ、その思いを綴っております。



シリーズ 音楽の素晴らしさ

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音楽の素晴らしさを私の拙い文章でどこま表現できるかわかりませんが、記していきたいと思います。



シリーズ 世界が実力を認めたピアニスト 川上敦子さん

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大成功のカーネギーホールのリサイタルと同じ演奏を聴きました!
既にシリーズ掲載を完了している 伝説のピアニスト 川上敦子さん(全25話)の続編にあたります。



シリーズ 日本を思う

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私が生まれ育った日本。 この日本を思う心を綴っていきたいと思います。



シリーズ 歴史あれこれ

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学校の授業で教わる歴史とは違った切り口で、歴史の話を伝えていければ ‥‥ と思っています。
ランダムで古今東西の話が飛び出してくると思いますので、ご了承下さい。



シリーズ DIY 自分で作ったり修理したりする

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下手ですが、私の趣味のDIY関係を載せていきます。(写真は自作した立水栓です)




シリーズ 遠き日の思い出

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発掘された小学校三年生(1975年)の日記や写真を中心に子供の頃の楽しかった想い出を振り返ります。
(馬が子供の頃より大好きだった私がポニーに乗っている写真です)



シリーズ 美味しいものシリーズ

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--- 既に掲載完了済み ---



伝説のピアニスト 川上敦子さん (全25話)
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演奏不可能と言われたリストの超絶技巧練習曲(1837年版)を日本で初演したピアニスト
川上敦子さんのことを掲載したシリーズです。
最終話:2015年3月11日掲載  川上敦子さんから頂戴したお心




祖母の思い出 (全第14話 最終話を掲載)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/4816511909af978673200140e1fbc228

4人の祖父母の中で唯一、長い交流のあった私が32歳の時に他界した祖母の思い出を記したシリーズとなります。
最終話:2015年6月10日掲載  多くの教えと思い出をありがとう。(シリーズ最終話)




重度の介護が必要だた父の緊急入院から納骨まで (全21話)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/c203e74471097ecc448cff62eae56542

重度の介護状態で自宅介護を受けていた父が緊急入院して他界してしまった話を記したものです。
最終話:2014年11月29日掲載  認知症でも、まだ手が動かせていた頃の父が描いた絵





愛犬パークの15年の生涯 (全18話)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/a8ccdc94c043ada8644af3606c3c34a5

保健所で殺処分されるところを助けられた生命。我が家に様々な想い出を残してくれた愛犬パークの15年の生涯を綴ります。
最新話:2015年11月30日掲載  母の腕の中で静かに天国へ旅立って逝ったパーク



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2016/8/26 0:00:10

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