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原爆投下が生んだ重巡洋艦インディアナポリスの悲劇


原爆投下した側のアメリカ合衆国の一般兵士たちの生命が失われた悲劇に関する話です。

日本の広島と長崎へ投下された原爆を海上輸送した船は重巡洋艦インディアナポリス号でした。

任務を完了したインディアナポリスは、命令によりフィリピンのレイテ沖を航行中、1945年7月30日に日本の潜水艦の魚雷攻撃を受けました。

約1200人の乗組員の中で、魚雷が直撃して船が沈没するまでの間に 約300人が死亡 しましたが、残りの約900人は海中に投げ出されたものの生存していました。

沈没までの間にインディアナポリスは救難信号を発信しており救助を求めています。

制海権・制空権を制していたアメリカ合衆国軍でしたが、意図的に救助部隊の派遣は行われません でした。

理由は何らかの形で情報を掴んだ日本海軍が原爆を運んだ船を狙ったのだとアメリカ合衆国軍は考えたからです。

意図的に救助を無視された兵士たちを3日後の8月2日に上空を飛んでいた合衆国の哨戒機が発見し、その後、救助活動が初めて行われたました。

しかし、既に長時間海中にいたことによる 体温低下やサメの襲来 などにより、殆んどの兵士が力尽きて死んでしまい、救助されたの兵士は300人ほどしかいませんでした。

900人生きていた兵士のうち、600人もの兵士が見殺しにされてしまった のです。

日本海軍はインディアナポリスが投下前の原爆を運んだ船だと知って魚雷攻撃を仕掛けたのではなく、偶然に潜水艦が見つけた敵の重巡洋艦を攻撃したに過ぎませんでした。

しかも、この悲劇は戦後まで長く続きます。

艦長のチャールズ・バトラー・マクベイ3世大佐(父親も海軍大将としてアジア艦隊の総司令官を務めたこともある人物)も救助された兵士の中に入っていましたが、彼は戦後、合衆国の軍法会議にかけられています。

第二次世界大戦中に合衆国では700隻ほどの軍艦が戦闘により沈没していますが、沈没した船の艦長で軍法会議にかけられた人物は チャールズ・バトラー・マクベイ3世大佐1人 しかいません。

軍法会議では、ジグザグ後方を怠ったため撃沈されたという理由で有罪とされました。

撃沈した当時の日本の潜水艦の艦長がジグザグ航法をしていても撃沈出来たと軍法会議で証言まで行いましたが、有罪とされたのです。

元艦長のチャールズ・バトラー・マクベイ3世は、その後、インディアナポリスの遺族たちから責め続けられ、23年後、遂に その批判に耐え切れずに1968年に自殺 に追い込まれています。

この軍法会議から50年後、チャールズ・バトラー・マクベイ3世艦長の名誉回復の運動が起こり、インディアナポリス撃沈の責任をチャールズ・バトラー・マクベイ3世艦長ひとりに押し付けようとしたことが認められ、2000年に連邦議会において彼の無罪が認められ、当時のクリントン大統領も彼が無罪であるとう書面にサインしています。

広島と長崎の原爆投下に関わった戦勝国の巡洋艦でさえ、正しい歴史認識が下される までに、50年もの長い時間 がかかっています。

原爆投下は戦争を早く終結するための必要善であったいう、未だに世界の多数派を占める誤った意見が改められ、大量虐殺の犠牲となった広島と長崎の市民に対して、アメリカ合衆国の大統領が訪れて、しかるべき公式発言をする日 がくるまでには、まだまだ時間はかかりそうですが、決して諦めずに発信し続けることが重要 だと私は思います。


最後に、未だに日本人に広く知られている原爆に関する都市伝説について解説します。

アメリカ合衆国は3発の原爆を持っていて広島と長崎に投下したものの、残りのもう1発は海上搬送中に日本の潜水艦に撃沈されてしまったため、残りの1発は投下されずに済んだという話。

実際には、搬送中の原爆を日本の潜水艦が撃沈した事実はありませんが、このような 都市伝説が生まれた背景 として、インディアナポリスが撃沈された話が形を変えて都市伝説となったのだと言われているようです。



( 続く )

このシリーズ「唯一の被爆国 日本の戦争について」の前回の記事  被弾したB29からパラシュートで脱出した米兵たちの運命  は下記のURLになります。
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2015/8/31 23:32:28

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